イマガワイレブン

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それからあの世日本代表は、アザーワールドカップを淡々と、それはもう当然の如く勝ち抜いて行った。 決勝の対あの世マレーシア戦では、セパタクローの技術を駆使したボレーシュートに多少手間取りはした。 でも終わってみれば12対3と、サッカーの試合としては十分過ぎる程の大勝であったが。 ……そして自分はその様子を観客席から眺めていた。 はいはい、ついに代表メンバーからも外されましたが何か? 監督を罵倒したのもあるが、ベンチ入りさえ許されなくなったのは別の理由だ。 自分の嫁のはーちゃんが、差し入れを持ってロッカールームまでやって来たのだ。 監督はその光景をご覧になった瞬間に大変お怒りになられ、 「リア充はピッチに入るんじゃねぇよボケコラァ!!」 というトンデモ詔(みことのり)を発せられたのである。 因みにはーちゃんは今、自分に寄り掛かって居眠りをしている。 ……あ、表彰式始まったな。 MVPは成通さん……成績が187得点で60アシストだから当たり前だろう。 そして、アザーワールドカップの優勝カップがキャプテンである成通さんに手渡された。 「感動した!!」 閻魔大王が優勝カップを手渡しながら言った。 あの世日本代表メンバー全員が、鬨の声を上げて喜びを表現している。 それに合わせるように、スタジアム全体が大歓声に包まれた。 「……ん、何の騒ぎ?」 はーちゃんが目を擦りながら、半分寝ぼけたような声で聞いてきた。 自分は彼女の頭を撫でると、耳元でそっと囁いた。 「……なに、自分達とは関係の無い事さ」
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