夏い夏

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「………別に、絵が描けても何の役にも立たないだろ」 あまり向けられない(というより僕が女子と話すのに慣れていない為にあまり萩原の方を向かないだけだが)笑い顔に一瞬言葉を失い、右手に握った絵筆を落としそうになりながらやっと出したのがこれだった。 何の役にも立たない、とまでは思っていなかったので、言ってからすぐに少し後悔した。 そんな僕を知ってか知らずか、萩原は珍しく真面目な顔で 『無駄じゃないよ』 と僕の瞳を射貫く。 脈が若干速くなった感覚がして、僕は白い天井の隅を見るように萩原から視線を逸らした。
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