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仕事っ
「くっ、力を抑えきれねぇ」
「な、なんだこれはっ」
「うおおぉぉお゙お゙お゙お゙お゙お゙っ!!!!!」
「はい、OKです。ありがとうございましたー」
肩の力が一気に抜ける。
「ありがとうございましたー」
「お疲れ様です」
「おう、お疲れー」
ここは、アニメの収録スタジオ。
今日は声優さんが少ないため、マイクの前で忙しくなることも、あまりなかった。
マイクが三本で声優さんは五人。
自分の声をいれる番が終わったら素早く抜けないと、次に台詞を言う声優さんとぶつかってしまう。
どうも、この抜けるのが苦手だ。
演技に集中してしまうからだ。
「きっよかったくーん、どうしたの?虚空をみて」
「遠いあの日のことを思い出してたんですよ」
「君は思い出に浸るような歳じゃないよね?」
話しかけてきたのは下谷 守さん。
少し太い声で、悪役なんかをよくやっている。
声は当然ながら、顔もイケている。
少し悔しい。
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