第一章

2/8
前へ
/62ページ
次へ
今日は何時もと何かが違った。 何時もの様に朝食を食べて、何時もの様に家を出て学校に向かう。 何時もと同じ景色、何時もと同じ行動。 でも、今日は何だか何時もとどこかが違った。 漠然としていて、何が違うのか分からないけれど…今日は何だか、嫌な事が起こるような…そんな予感がした。 今日、学校に行かなかったら…何か変わったのだろうか? それは誰にも分からないだろう。神様でさえも分からないかもしれない。 でも、俺は学校に行った。これだけは変わらない。 ふと、空を見上げた。本当に、どうしても見たかった訳でも無いけれど…何となく見たのだ。 空だけは…何時もと何かが違っていた。確かに晴れてはいるけれど、今にも嵐が来そうな…変な空だった。 暫く空を見ていたけれど、このまま見ていたらいけないような…そんな不確かな予感がして、俺は空を見るのを止めた。 学校に着いた俺はふと呟いた。 「今日は嵐が来そうだな。帰った方が良いだろうか?」 誰に聞くでも無く呟いた俺の問いに答えたのは、一番苦手な奴だった。 「じゃあ、帰れよ。あ!帰っても誰も居ないから寂しいんだろ!」 こいつは唯野葡太(タダノブタ) 典型的ないじめっ子だと何時も思う。 「きっと…唯には分からないさ。唯は、独りになった事も…夜が怖いと思う事も無さそうだしね。 唯には…分からないさ。いや…分かって欲しくなんて無いね。昔のお前なら…分かっただろうがな。」 「何だと!?人が折角…「唯、そういうの…嫌われるよ。」な!?」 コイツは何かにつけて俺に絡んでくる。しかも、両親の悪口を言ってくるのだ。 俺には両親が居ない。その事をネチネチ言ってくるのだ。 俺は唯のそういう所が嫌いだった。 でも、昔は良いヤツだったのだ。周りが変えてしまった。それが分かってても、俺は唯が嫌いになってしまったのだ。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加