149人が本棚に入れています
本棚に追加
教室に着いた俺は自分の席に座って親友に話し掛けた。
「おはよう。今日は嵐が来そうだな。」
「は?大丈夫かお前…。あんなに晴れてんのに、嵐なんて来る訳ねぇだろ!」
コイツは円藤龍成(エンドウリョウセイ)。コイツも小学校からの親友だ。
何時も皆から守ってくれていた親友っていうのがコイツだ。
「何かさ…嫌な予感がするんだよなぁ…。ほら、嵐の前の静けさとか言うじゃん。」
「は?訳分かんねーよ。それに、雨も降りそうにねぇくらい晴れてんのに嵐なんて来ねーよ。」
「まぁ、そうだけどさ…。今日の空が…。」
「空?普通に晴れてんじゃん。」
「そうじゃなくてさ…今日は、学校に来ない方が良かったかもしれない。」
「は?」
「もしかしたら、取り返しのつかない事になるかもな…。」
「怖いこと言うなよ!」
「ゴメン。でも…。」
モヤモヤとした感覚を感じながらボーっとしていたら、いつの間にか学校が終わってしまった。
「おい昴。一緒に帰ろうぜ!」
「あぁ。」
今日は何かがおかしい。まるで間違い探しの様に潜む小さな違和感。
そして、何かが起きるという変な予感だけが俺の頭の中をグルグル回っていた。
唯とすれ違った時、その予感は少し大きくなった。
普通なら誰も目を留めないだろう行動に、俺だけは目が離せなかった。
…誰かと電話をしているという行動が、どうしてこんなに胸を掻き回すのか理解出来なかった。
不思議に思いながら、俺と龍成は通学路へと進んでいった。
運命の瞬間は、直ぐ其処まで迫っていた。
最初のコメントを投稿しよう!