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 そうね、と言いながら、一応、保健医もシーツの下の腕を取り上げて脈を計ってみるようだった。 「いつから、ここにいるの?」 「朝礼が終わる少し前です」 「そう。――なんだか、起きそうにもないから、もう帰っていいわよ。次の授業が始まるでしょう?」 「そうですね」 「後は、わたしが見てるしね。もう、帰っていいわよ。ご苦労さん」  年のいった保健医に促されて、役目終了となった男子生徒は、失礼します、と言い残してその保健室を後にした。  ゆっくりと教室に戻りだす男子生徒の周囲にも、朝礼を終えて戻って来た生徒達が忙しく前後を歩いていた。  それに混じって長い廊下を抜けて行き、自分の教室に戻り出す。  3学年の教室は全て一階に設けられているので、移動もさほど面倒なものではない。  同じ流れの一同が教室の前でクラスに戻って行ったり、前の列が次のクラスに戻って行ったりと、男子生徒が自分のクラスに戻ってきた時には、ほぼ全員が戻って来ていたようで、すでに机に座り次の授業の用意をしたり、10分休憩の間にトイレに行ったりと、まだざわついているままだった。
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