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「廉(れん)、どこに行ってたんだ?」  自分の席に戻りかけて、すぐ二席前の一人が廉と呼ばれる男子生徒の前にやってきた。  くりくりとした瞳が印象的で、小柄ではあるが活発そうな面立ちが明るくて、いつも表情がころころと変わる少年である。  その名を、菊川龍之介(りゅうのすけ)、と言う。 「ちょっと、ヤボ用で」 「ヤボ用?どんな?」  うん?と少し笑った廉は自分の席に戻って行き、まず椅子に座り直していく。 「朝礼にはいたんだろう?一緒に並んだもんな」 「そうだね」 「だったら、朝礼を抜け出したのか?」 「まあ、そういうことになるね」 「なんで?なにかあったのか?」 「大したことじゃないよ」
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