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「あぁあ、もう遅刻じゃない。サボった方がマシかも」
教室に顔を出してみれば誰もいなく、黒板に“朝礼”と書かれた一言だけが、その閑散とした室内を物語っていた。
すでにHRには遅刻して来ているだけに、今更、体育館に集合して朝礼に顔を出す気も、起こりはしない。
おまけに、今朝から生理になったせいで、お腹は痛いわ腰は痛いわ、最悪の気分である。
これだけ悲惨な時期にぶつかったのも、かなり久しぶりだった。
「お前、目立つことするなよ。それでなくても偉そうなんだからな。しっかり学生やれよ。わかったな!」
うるさいほどに念を押された、あの言葉が蘇ってくる。
朝一番でさっさと早退しかけたその足が、本当に仕方なさそうに体育館に向けられていく。
「ヤスキのやつ、自分は寝坊してるくせに」
もう腹が立つ――と八つ当たりをしても、その相手もいなければ、八つ当たりできるような障害物もない。
はあ…、とやる気のない溜め息をこぼし、仕方なく、アイラはその廊下を歩き出していた。
こんな日は、朝からのんびりとベッドで眠りたいものだ。
はあ…、と、また、とことんやる気のない溜め息がこぼれて行く。
後期の学科を終えて、超多忙な試験までやっと終えたのに、アイラは、なぜ、また“学校”などという窮屈な場で一日を過ごさなければならないのだろうか。
ヤスキの口車に乗せられてやって来てみたはいいが、あの男にいいようにコキ使われているだけなのは疑いようもない状態だった。
「倍額、請求してやるわ。なによ、大したことじゃない――なんて、大ウソついて」
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