その1

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 生理痛の痛さに加えて、ここ数週間の鬱憤が積もりに積もって、嫌そうに眉間を寄せたアイラの背後には、今にも爆発しそうな怒りのオーラが漂っているかのようだった。  体育館の前までやってきてそのドアに手を伸ばすと、中からマイクで喋っている誰かの話し声が耳に届いてくる。  極力、音を立てないように、目立たないように、アイラはそーっとドアを押しながら、少し開いた隙間に自分の身を押し入れるようにして、体育館の中に入って行った。  ズラリと並んだ全校生徒が壇上に向かって整列していて、サッと軽く見渡した限りでも、自分のクラスの列がどこなのか見当もつかないものである。  制服など着ているものだから、並んでいる生徒が全員同じ形に見えてしまう。  それでなくても、女性徒など髪型が似ていて、格好も似ていて、制服なのに着飾っているその様子が同じで顔までも同じに見えてくる。 (うちの列、どこだっけ?)  でっかい学校に編入させられたアイラは、編入時に軽く説明されたクラス編成を、もう一度、頭の中で思い出していた。 「確か……ほぼ全学年が15クラスあるのよね。子供が減ったって聞いてたけど、ホント、デッカイ学校よね」  1クラス40人としても、1学年600人である。3学年で約1800人の生徒はいることになる。  寮も整っていて、地方からやってくる生徒もかなりいるらしい。  まあ、都内でも有名な私立高校の一つで、進学率90%以上を超える超進学校なので、いい大学に行きたい子供と、それに入れたい親の期待を背負って、ありとあらゆる地域からたくさんの入学者がやってくると言う。
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