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 列から離れていくと、またも、何事もなかったかのように女生徒と一緒に向きを変え、女生徒が寄りかかっているような様子で一緒に歩いているような雰囲気を見せながら、スーっと音を立てずにドアを横に押して、男子生徒は体育館から出ていた。  ドアを閉める際に、生徒会長からの報告と一緒に、今月の注意や気づいた点が述べられているのが聞こえてきたが、男子生徒がドアを閉めると同時に、閑散とした廊下に二人だけが残されていた。 「君、大丈夫?」  完全に男子生徒に抱きかかえられているような女生徒にそれを聞いても返事が返ってくるはずもなく、男子生徒はちょっとその顔を覗き込むようにしたが、女生徒を支えながら、すぐに反対の腕で足を抱えるようにして女生徒を抱き上げた。  うつむいていて髪の毛が顔に被さっていたのが、抱き上げられた反動でその髪がサラッと後ろに流れていった。  その露になった顔――顔色は、随分、青ざめているものだった。  眉間を寄せて、気を失っているのに、随分、苦しそう――痛そうだったのか――に見える。 (美人だ)  男子生徒は女生徒を抱き上げたまま動き出していた。 (それに――いい、体かもしれない)  ふーむ、と一人、呑気にそんなことを考えながら、その足をゆっくりと保健室へと向けていた。
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