真正面から

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パリン! コップの割れる音がする。 「相変わらず救い用のない奴」 娘に向かって投げたコップが壁に当たって砕ける。 修羅場?これ、なわけないよな 「あの、口はさんで…」 「うるさい人の娘をこんな夜遅くまで連れ出しといて心配すると思わないの?男も男ね」 彼女の母親に言われた。 「いや、待って…」 そう言おうとした時、彼女が持っていた鞄が俺の横をすり抜けた。 「何処まで最低なの…」 ポツリと呟いてゆいは家を出た。 投げた鞄は母親に当たり近くに居た父親がそれを拾った。 「何で親子なのにこんなに上手くいかないんすかね…子供が悪いんですかね。子供だけが悪いんですかね…」 そう言って一度頭を下げてゆいを探した。 こんな時親はどんな気持ちなんだろう。 娘を頭ごなしに叩いてどんな気持ちなんだろう。 娘に物をなげてどんな気持ちなんだろう。 娘に嫌われてどんな気持ちなんだろう…。
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