小高い丘の物語

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時々思う。10代ってほんと特別だよなって。 あの頃は胸はって廊下の真ん中歩いてたっけ… 俺の生きる世の中はここじゃないとか…あほくさ 「なぁ久し振りにあの場所行って見よーぜ」 「え?どこ」 「だからあっこだよあの、見晴らしのいいさ…」 「あぁあの丘か…」 中学の頃見つけた小高い丘は田舎の町を見下ろすには十分だった。 毎日此処に来てたっけ 「うおー!久し振りじゃん!なぁ」 「そーだなー、ここ、こんなに狭かったっけ?」 「俺らがでかくなったんだろ…」 大人になんてならないと思ってた。 青春は特別だ。なんでも出来たし怖いものなんてなかった。 いつからこんなにつまらない大人になったのか。 「あ、香苗~」 「久し振り!」 「花ちゃんも」 「久し振り!」 「友妃も元気だった?…」 俺たちも変わらないはずだった。 「ねぇ待ってよ友妃…」 「なんだよ!」 「何時から損得で生きるようになったの?」 「…」 「それにしても久し振りだなぁーどうしたんだよみんなして」 「んーなんだかこの丘に呼ばれてるような気がしてさ」 「ふーん」 「もう別れよう…自分のことで精一杯なんだ」 「変わっちゃったんだね」
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