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「よぅ、花…」
「久し振り…あれから6年なんだね」
「そうだな」
相変わらず彼女は繊細で綺麗で可愛くて。すれ違いで別れたけど今でも好きだった。
「変わっちゃったんだね私達って…」
あの頃と同じことを言われた。
「いや、変わってなんかないよ…」
「え?」
「俺達は俺達らしく人生を選択して歩んできたんだ。この腐った世界で生き抜くすべを俺達らしく探してきたんだ」
何を言ってるのかわからなかった。
だけど、この丘が俺達を会わせたのはそういうことなんだ。
「ただ、その道が二人交わっていなかっただけで…」
「意味わかんない」
「だから、俺達が今此処に居るってことは俺達が変わらずに自分の道を選択して来たからで」
「…」
「だからまた、ここから始めよう…?」
「ごめん私結婚するんだ。来月…」
「え…」
沈黙が流れた。あんだけカッコつけて偉そうに喋ってこれか。
「でもね。変わってなかったって私もそう思えてきた…」
「こうやって私達は此処に来ることを選んだよ。ここを懐かしいなって思えるのは私達が変わってない証拠…そして今日気持ちを終わらせるために来たんだよきっと」
「おう…」
「なぁー!そろそろかえろうぜー!」
「あぁ」
「今度四人で飲みいかない?」
「いいね」
俺の背中に背中をくっつけて…
「思いでの私は友妃が大好きだよ…」
「…ありがとう」
なんか、清々しい気分。
変わらないものは必ずある。
だから、また辛くなったら戻ってこよう。
あの頃の自分に会いに来よう…
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