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「俺さー彼女と別れようと思って…」
「なんで?」
突然友人が言い出した。
「なんっつーかさー好きなんだけど好きじゃないって言うかさー」
「なにそれ」
「好きの形が変わったのかなってさー…」
あの頃の情熱的な、ただ真っ直ぐに人を愛せたあの時の感情は?
何となく、わかる気がする。
「何か急に怖くなってきてさ…」
俺にもそんな次期があった。感情だけで走ることができた次期が…。
その時の彼女は俺の中では不幸な女。
俺が幸せにしてやるんだって本気で思った。まだ、がきだった。
彼女は昔襲われた。家のために夜の街に働きに出た。学校も辞めたし友達もいなかった。 そんな話を聞いた。
彼女の家は少し離れたところにあった。
学生の俺には移動手段もなかったし、正直信じきれてない俺が居た。
そんなときにまた彼女は襲われた。
傷だらけになって俺の所に来た。
何も出来ない自分が悔しかった。傍にいることしか出来なかった。
人間こんなに何も出来ない生き物何だって。簡単に幸せにしてやるんなんて…
そのあとも色々あって…今までのことが全て嘘だったと知った。あの時の傷は友達に金を借りてそのことで、いざこざして、リンチにあったらしい。
俺は人ってなんなんだって…そう思った。
平気で人を裏切る。繋がりを絶ち切る。
傷つける。
もう人を好きになることなんかないって…。
自分の選んだ道を後悔したし、もう一度やり直せたらって…。
「おい、友妃聞いてんのかー?」
でも、また好きな人ができた。前みたいにただ真っ直ぐに…なんてゆーのは当然無理だった。
その子とも色々あった。でも、時には涙を受け止めて時には涙を流させてくれた。
こんなにも、人は人を好きになれるのかって思った。
こんなにも、人は人を愛せるのかって。
だから、何が言いたいのかって言うと…
「いいんじゃないお前のしたいようにすれば…」
「はぁー…?無責任な解答だな」
あの頃を悔やんだし、消えてしまいたいとも思ったけど、あの時があったから今があるわけで…コノセカイニ間違った道なんてナインダトオモウ。
だからつまり…だから…。
「後悔も悪くないと思うよ…」
そう。後悔もそんなに悪いもんじゃないと思う…。そう思う…。
窓から入った桜の花びらが…
また一年が始まるんだと知らせてくれた。
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