第一章

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   2  どんよりとした黒雲が広大な空を覆い、青い光が縦横無尽に駆け巡っている。  それは禍々しいまでの稲光だった。  遅れて、腹に響く雷鳴が轟き、まばらに生える地上の木々を震えさせた。風は生温く、微妙に錆びた臭いを含む。昼だというのに薄暗い。  そこは、あまり爽快とはいえない環境だった。  いつかのテレビで観た火星のように真っ赤な大地は干上がったかのごとくひび割れてめくれあがり、遠く霞む地平線に薄っすらと浮かび上がっている崩れ落ちたビル群までが、赤く染められていた。  荒れ果てた風景の中、ザリ、と崖の端に片足をかけた少年のシルエットが、雷光に浮かび上がった。
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