第一章

7/102
前へ
/137ページ
次へ
「ふふふ。ふーっはっはっは! 見ろ、章太郎! これがおれたちの思い描いた未来! これこそが、予期されていた世紀末の姿なのだ! ふわーっはっはっは!」  両手を掲げ、狂ったように大笑いしているのは、南条光輝だった。  光輝のどんぐりのような瞳が見下ろす荒れ地には、無数の人(だったもの)が蠢いていた。  ごぼうのような土色の肌はただれ、めくれ、筋肉繊維をむき出しにしている。  顔も腐ってしまったのだろう、ぶらんぶらんと振り子のように揺れる、飛び出した眼球や、頬まで裂けてしまった口からは、長い舌が垂れ下がっている。  一般的には『ゾンビ』と呼ばれる、生前は人間だった者たちが、ただうろうろと徘徊していた。 “この世界”では。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加