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大抵の人間はいろんな能力が混ざり合い、打ち消し合う。そのせいで、最大のポテンシャルを発揮出来ずに終わっている。
しかし、光輝は違う。
自分の持てる“能力”を、ロスなく振るうことが出来るのだ。
これは極めて少数派であり、その為に“エリート”と呼ばれた。
「だからさー、俺がこんなクォーツ持ってても、あんま意味ないんだよなー。これが一番うまく使えるのって、『サイコメトラー』じゃん? 今数字が出てるのだって、そばに章太郎がいてくれるからだもん。俺一人の時って、なんにも表示されないし」
光輝はダイバージェンス・クォーツをぽん、と空に放り投げた。
《ダイバージェンス・クォーツ》。
これは二〇二一年に開発された“時空間振動素子”と呼ばれる物だ。
人間の精神に感応し、大きく振動するこの素子は、不思議な磁界エネルギーを生み出した。
人類はこれを応用し、“永久機関”の製造に成功。かねてよりの世界的な大問題であったエネルギーの枯渇を、一挙に解決した。
しかし、これには一つ、予想外の欠点があった。
いくつも繋げることで巨大なエネルギーを生み出した《クォーツ》は、人の“思い”に共鳴し、空間までも振動させていたのだ。
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