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バリバリという不快な音が、南条光輝(なんじょうこうき)の耳朶を打ちつけている。
それだけではない。激しい突風と青白い光の奔流も、光輝の周りに溢れていた。
光輝はそれらから身を守るため、両腕を顔の前に交差させている。
小学校の四年生である光輝は、荒ぶる大気に対して、あまりにも無力だ。
今にも吹き飛ばされそうになっている体を、必死で足を踏んばり支えている。
白いポロシャツはめくれあがり、風にバタバタと煽られているし、太ももまでしかないズボンも、体にぴっちりと張り付いていた。
ピンピンと跳ねた寝癖だらけの黒髪はごうごうと逆立ち、どんぐりのような目も、今は薄くしか開けられていない。
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