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「あー、サイコキノなんかいらねー。マジで超絶パワーのサイコメトリーが欲しー。あれなら使い方次第で人の心読んだりさ、精神を電気信号化してプログラムに侵入できたりするじゃんか?
……そうだ! その気になれば、世界征服だって出来るよな! ……いや待てよ? そんな不毛なことをするより、柏木さんの心を読めば……ふにゃあぁぁ。かーんたんに、おれの嫁に出来るかもぉー。そうしたらあんなことやこんなことして……うふ。うふふふふふふふ」
光輝は妄想に入り込んだ。思い込みの激しいタイプである光輝は、こうなると周りが見えない。
おかしな手つきで空間を揉みしだく光輝の、にやにやと緩められた口元からは、よだれがだらだらと滴った。
「嫁とか言うな。で、今回は、なにをやったんだ、光輝?」
章太郎はそんな光輝に冷ややかな横目を送った。
が、すぐに第七世代携帯端末に目を戻すと、位置測定を試みながら、蔑んだような口調で問いかけた。
中継基地局が設置済みであれば、こんな異世界でも携帯は普通に繋がる。
「え? えーと、こ、告白、とか? てへ」
妄想から帰って来た光輝は頭をぽりぽりと掻いて、舌を出した。
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