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「……お前……まさか、クォーツを持ったままで……?」
携帯を操る手を止めて、章太郎が愕然としている。
「うん。だってさ、これが無いと不安じゃん?」
「ば! 馬鹿か、光輝っ! 本当に《クォーツ制御技術者》候補、《海星学園ESP開発科》の生徒か、お前はっ!」
章太郎が怒鳴りたくなるのも当然だった。
人の気持ち、精神に反応して振動する《クォーツ》を持ったまま、最大の振幅記録を持つ“告白”をするなど、ほぼ自殺行為だからだ。
告白はクォーツの力を最大に引き出すが、それは同時に並行世界への隔たりを取り除く振動をも発生させる。
その結果、クォーツの所有者は、異世界へと引きずりこまれることとなる。
“ドキドキしてはいけない”。
これは、クォーツを扱ういろはの“い”。最初に教えられることだった。
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