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「レベル7が、そんな愚行を、平気で……。まぁいい。到達履歴がある世界なら、出口も分かっているからな。よし、あった。ここだな。すぐに帰るぞ、光輝」
章太郎は端末から『出口案内』一覧をチェックし、一番近い場所をクリックした。
すぐにナビアプリが立ちあがり、赤い矢印が案内を開始した。
「なんだよー、さっきから偉そうだなー、ショタ」
「ショタ言うな! ぼくはそう呼ばれるのが大嫌いだって、言っただろうが!」
「うははは。なんでー? どうしてー? いいじゃーん、ショター。昔はそのあだ名とその女の子みたいな顔で、ずいぶんお姉さんたちに可愛がられていただろー?」
「うるさい! あれは可愛がられていたんじゃないっ!」
「え? じゃあ、なんだったの、あれ?」
「う……」
光輝に嫌なところを突かれ、章太郎は黙り込んだ。
――小学生の頃、章太郎はご近所に住む年上のお姉様方から、頻繁に連れ出されていた。
女子大生のお姉様たちは事あるごとに章太郎を遊びに誘った。最初の頃は遊園地や動物園、水族館など、明るく楽しいものだった。
が、半年も過ぎた頃、お出かけの回数は激減した。
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