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――三〇分後。
「おええ。おま、もうちょっとなんとかならんのか、その力……」
章太郎は、赤土のめくれあがる地面に、四つん這いになっていた。
「だから目を閉じてろって言ったじゃん。おれ、全力でしか使えないんだよねー、念力」
光輝は章太郎の横で、手を頭の後ろに組み、どんよりとした空を見上げている。
「くそぅ。やっぱりぼくたちの『チーム』にも、『テレポーター』がいて欲しい。お前と組んでいると、こんな場面ばっかりだ。テレポートで逃げられれば、お前に力を使わせることもないのに……」
章太郎はよろよろと立ちあがり、腕で口元をぐいっと拭った。
「しょーがないじゃん。いないんだから。あれってレアな能力だから、なかなかいないもんな。いても実戦で使えるほどじゃないし。おまけに、素質を持ってるヤツも、そう簡単には育たないし。いひひひひ」
光輝は能天気に笑っている。
テレポ-テーションの危険度は、他の能力の比ではない。試しに使ってみたところ、出たところが地中やコンクリートの壁の中、なんてことはしょっちゅうだった。
能力があっても、それを使いこなせるだけの”空間把握”センスが必要とされる。それがテレポーターだった。
「あーあー! いても、どーせ組んでくれねぇだろうしな! お・ま・え・が! こうやって、しょっちゅう異世界に吹っ飛んで行くせいでなぁっ!」
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