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光輝たちがゲートから出た所は、海星学園の各学部棟の中心にある中庭だった。
初等部、中等部、高等部、大学部の四つの建物に囲まれた、ちょっとした公園のようになっている所だ。
荘厳なゴシック様式の、二十階はある高層建造物に取り囲まれるようにしてイチョウの木々が生い茂り、四方には赤煉瓦の小路が走っている。
そこには一定間隔で設置されたベンチもあり、初めて訪れた者は、ここが日本であることを、一瞬忘れてしまうような造りの中庭だ。
その中心に、今、光輝たちは立っている。
「おー。無事帰還出来たなー、章太郎。はっはっは」
光輝は腰に手を当て、胸を反り繰り返らせ、なんの屈託も無く……つまり、なんの反省も無く笑っている。
「……お前……なんでこの状況で笑えるんだ……?」
対して、章太郎の普段でも青白い顔は、さらに青くなっていた。
自分たちを待ちうけていたであろう一人の男が、帰る早々、目に入ったからだ。
章太郎は、自分たちがこの後どうなるのかを、瞬時に悟っていた。
「よぉ、お帰り、南条。そして、小室」
光輝たちの立つ中庭の中心、煉瓦で囲われた直径七メートル程のゲート用円形広場に向かい、腕を組んで立っているその男が、笑顔でそう言った。
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