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その声は低く、凄みを感じさせる。男は一見笑っているものの、内心は全く反対であることが誰にでも分かりそうな気配を発していた。
この男の名は、東雲四十万(しののめしじま)。
短く刈りそろえた頭の真ん中だけを少し長くした、にわとりのようなヘアスタイルと、眉間に刻まれた深いしわが特徴的な、見るからに硬派な男だ。
そろそろ暑さも感じるこの時期であろうと、常にグレーの薄手のロングコートを、だらしなく着崩したスーツの上に羽織っている。
二十代なのか四十代なのかも判然としない、年齢の不詳な、光輝たちの属する《ESP開発科》主任教諭だ。
生徒たちからは、畏れを込めて、密かにこう呼ばれている。
《東雲ベルセルク(狂戦士)》と――。
「あ、東雲先生。南条光輝、ただいま無事に帰還いたしましたー。なははは」
だが、光輝はそんなことなど気にしない。誰にでもいつもどおりに接するのが、光輝の長所であり、短所でもあった。もちろん、この場合は短所となるが。
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