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章太郎の予想に反し、東雲の光輝に対する応対は優しかった。
「ああ、無事でなによりだ。だが、かすり傷一つないとは、全く呆れたヤツらだ。飛ばされた先は、《0.546783》だったな。あそこは確か、バイオハザードで滅亡寸前の、かなり危険な世界だったはずだが」
東雲は至極真面目な口調だ。表情も特に無く、全く普通に見える。とはいえ、東雲は叱る時も褒める時も、普段からあまり感情を表に出すタイプではない。
「はい。ゾンビたちがわんさか寄って来ましたけど、全部おれがぺっちゃんこにしましたから」
光輝はえへんと胸を叩いた。
「……ほう。ぺちゃんこに、ね」と応えた東雲の眉がぴくりと動いた。次いで、「おい、南条。お前、ちょっと全力で《斥力フィールド》を展開してみろ」と、光輝に促す。
「え? はい。こうですか?」
光輝は言われるがまま、素直に《斥力フィールド》を自分の体の周囲に巡らせた。
これは自分に迫る様々な物理的脅威を念動力で弾き返す“サイコキネシスシールド”だ。
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