第一章

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  1  自分という存在にとって“明日”というものは、今の世界同様、非常に不確かで曖昧なものだ。  西暦二〇三八年現在、この世界に住む人々にとって、それはもはや常識だ。  だから“今日”という日を精一杯に生きてゆく。明日、後悔をしないために。  もちろん、南条光輝という少年もそう思っている。 「柏木星花さん。好きです。お、おれと、付き合ってください」  だから光輝は、柏木(かしわぎ)星花(せいか)を高等部棟の屋上に呼び出し、思い切って、告白を敢行した。
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