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光輝は、一六歳になっていた。名前の通りに輝く笑顔には、さらに光を放つどんぐりのような瞳があった。ぼさぼさと伸ばした黒髪が、寝癖のようにぴんぴんと跳ね回っている。
光輝はオリーブグリーンの詰襟を着こんでいる。スラックスの横には、ゴールドのラインが入った、少し目立つ制服だ。
ところで光輝は、星花とまともに話したことなどない。だが、光輝にとって、それは無理のないことだった。
先日行われた学年美少女コンテストで二位にランクインした星花は、光輝にとって、高嶺の花としか言いようがなかったからだ。
この告白は、無謀と言う他にないものだった。
「ありがとう、南条くん。……って、あの、あの」
星花は青色がかった瞳を細め、はにかんだように微笑むと、続いて困惑した表情を浮かべた。
視線は自分の手をぎゅっと握りしめている光輝の顔ではなく、もっと下、制服の胸ポケットの辺りに注がれている。
光輝の胸ポケットからは、怪しく輝くシアンの光が漏れ出ていた。
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