20人が本棚に入れています
本棚に追加
.
約束の夜、12月の街はクリスマス色に染まっていた。
初めて会うのだから、本当ならドキドキしていても可笑しくないのだろうけど… 全くの平常心でいられる私は、どれ程神経が図太いんだろう?
そんな事を考えながら、約束の時間より少し早く待ち合わせのファミレスに着いた。
平日だというのに、家族連れで込み合っている店内。
待ち合わせだと告げ、案内された席へ座ると、携帯の着信音が流れた。
『ごめん、取引先の人と食事する事になった
途中で抜けるけど少し遅れる
出来るだけ早く行くからそこで待ってて
本当ごめん』
えっ?待っててって、……ここで?
『忙しいなら今日じゃなく別の日にしませんか?』
私は少しイラッとしながらも、冷静な返信をしてみた。
『今日じゃなきゃダメなんだ
兎に角待ってて、すぐに行く』
はぁ? 仕事なら仕方がないけど、なんで今日じゃなきゃダメなわけ?
訳も解らず、……それでも一人でドリンクバーだけ頼み待つ事にした。
もちろん会いたいからではなく、ハッキリ断りたいから。
.
最初のコメントを投稿しよう!