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「ここ擦りむいちゃったね、痛そうに、……跡にならなきゃ良いけど」
私の右手の小指が擦りむけて血が滲んでいるのを、心配そうに見つめている。
「大丈夫ですっ!!」
恥ずかしい私は、咄嗟に彼の手を振りほどいた。
「ごめん、こんなに遅刻しちゃったから、流石にもう居ないだろうと思いながら来てみたんだ、……待っていてくれてありがとう」
そう言いながら、……抱きしめられた。
抱きしめられた?
えっ、えぇーっ!!
此処ファミレスだよ?
皆見てるし!!
「ちょ、ちょっと、止めてください!!」
「あっ、ごめん」
ごめんって、……今のってバグってやつ?
「可愛いなって思ったら、抱きしめたくなっちゃった」
可愛いなんて言われ慣れていない私は、この瞬間きっと真っ赤になっていたに違いない。
「あっ、初めまして、川崎和紗です」
「初めまして、与木健太です」
照れ隠しに初めましての挨拶を交わしたんだ。
さらっと可愛いなとか言っちゃうなんて、きっとストレートな人なんだ… ってのが初めて会った健太の第一印象だった。
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