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「実は俺、紹介の話をされた時、一度断ったんだ」
言い辛そうに彼が話す。
「実は、私も断ったんだ」
「うん、聞いてる」
えっ?聞いてるって何を?
つか、私は何も聞いてないけど?
「辛い恋をしていたんだって? まだ君は心の傷が癒えていないんじゃないかって、俺は勝手に思ってるんだ」
「うん、……」
彼の目には、……きっと今にも泣きだしそうな私が映っているかもしれない。
「実は俺も似てるんだ……」
「えっ?」
似てるって何?
「ずっと待ってる人が居るんだ」
「待ってる人?」
「本当は終わってる、……でも俺は終わりに出来なくて、勝手に待ってるだけなんだけどさ」
似てるって、辛い恋をしていたって事なんだ……
お互いに終わってる恋だけど、私は過去形で忘れられないけど、この人は過去形に出来ないでいるんだ。
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