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永島くん、濡れてないかな。と思いながら、あたしは永島くんの傘を差して帰った。
それから、永島くんを目で追いかけるようになった。どうしてかはわからない。自分でも不思議に思う位だ。でも、追いかける。追いかける。
この頃にはもう、あたしは永島くんが好きになっていたんだと思う。
永島くんは、ずっと1人で黙って勉強をしたり読書をしたりしているけど、一度だけ笑った顔を見たことがある。
ある日の放課後。あたしは、夕飯の食材を買いにスーパーまで行った。その帰りに、あたしは近道をしようと、裏の通りを歩いていた。その先は小さい公園があって、人影が見えた。普段、そこはあまり人がいない場所だったから、あたしは、珍しいなぁ。なんて思いながら、そのまま公園の前を通り過ぎようとおもった。けど___
「あはははっ!!お前、本当面白いヤツだな」
突然笑い声が聞こえたから、少しビクつきながらも、公園の中を見てみると、そこには、知らない男子と永島くんがいた。
「初めて…見た。笑うとこなんて…」
そう呟くと、呟いたつもりだったのに狭い公園には響いたみたいで、
「笹原?」
永島くんに気づかれてしまった。
「なんだ?和人の彼女?」
隣に座ってた男子が、あたしを見てニヤニヤしていた。
「違うよ。ただのクラスメート」
永島くんは、呆れたような表情で言った。
永島くんの笑った顔。あたしは、その瞬間、胸がトクン、トクン、と脈を打った。今までとは違う脈の打ち方。キュッと締め付けられるような感覚に、正直戸惑った。今まで、何度も恋はしてきた。もちろん、彼氏だっていたこともある。けど、違う。感じたことのない、この気持ち。感覚。これは…一目惚れなんだろうか。
これが、あたしが永島くんに恋をしたんだと確信した瞬間。
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