first story

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そんなことを思い出してたら、ずっとボーっとしていたあたしを心配した早苗が、 「だいじょーぶ?ボーっとしちゃって。具合悪いの?」 と聞いてきた。そうだ、今は昼食の時間だったんだ。 「大丈夫だよ」 そう言い、残り少ない時間でなんとかお弁当を食べ終わった。 その後、授業はどんどん進みいつの間にか放課後になっていた。 みんながまばらに帰って行く中、あたしは1人屋上に行た。 理由は、違うクラスの男子に呼び出されたから。夕飯の買い物しなくちゃいけないのに。と思いながら待っていると___ ガチャッ 屋上のドアがあった。 「待った?」 来たのは、身長の高い男子。髪は、ワックスで形を整え、色は茶色がかっている。耳にはピアス。いわゆる、不良の中に入るであろう人だった。 「今来たばかりだから大丈夫」 少し微笑むと、相手は、手の甲で口を隠した。ハテナマークを浮かべるあたしに、相手は、 「初めまして。折木涼太って言います。ずっと前から好きでした。付き合ってください」 と真剣な表情であたしに告白してきた。意外にも、礼儀正しい人なんだ。見かけによらないってよくいうけど、本当だったんだな。そんなことを思いながらも、 「ごめんなさい。好きな人がいるから」 そう断った。 長い沈黙。でも、本当は短かったかもしれない。それだけ、緊張してたんだろう。その沈黙を破ったのは折木くんだった。 「…んでだよ」 「え?」 小さく呟いた声が聞こえなくて、聞き返した。 「…何でだよっ!!」 急に、凄い形相であたしを睨む折木くん。そして、あたしの肩を掴んで壁に押し付けた。顔が怖くて俯くあたしに折木くんは、どんどん顔を近づけてきた。 「やっ…めて!!」 必死で抵抗するあたしだけで、女のあたしの力がかなうはずもなく、もっと強く押し付けられるあたし。 「いいだろ?なぁ?付き合うって言えよ。俺が告ってるんだからさぁ。フツーは断んないと思うんだけど」 いっそう低い声で囁く折木くんにビクビクしていると、頬に一筋の涙が伝った。 「や…めて。ほんと…に」 力なく呟くあたし。誰か助けてって願っても誰も来ないだろう…。そう思ってた。
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