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そんなことを思い出してたら、ずっとボーっとしていたあたしを心配した早苗が、
「だいじょーぶ?ボーっとしちゃって。具合悪いの?」
と聞いてきた。そうだ、今は昼食の時間だったんだ。
「大丈夫だよ」
そう言い、残り少ない時間でなんとかお弁当を食べ終わった。
その後、授業はどんどん進みいつの間にか放課後になっていた。
みんながまばらに帰って行く中、あたしは1人屋上に行た。
理由は、違うクラスの男子に呼び出されたから。夕飯の買い物しなくちゃいけないのに。と思いながら待っていると___
ガチャッ
屋上のドアがあった。
「待った?」
来たのは、身長の高い男子。髪は、ワックスで形を整え、色は茶色がかっている。耳にはピアス。いわゆる、不良の中に入るであろう人だった。
「今来たばかりだから大丈夫」
少し微笑むと、相手は、手の甲で口を隠した。ハテナマークを浮かべるあたしに、相手は、
「初めまして。折木涼太って言います。ずっと前から好きでした。付き合ってください」
と真剣な表情であたしに告白してきた。意外にも、礼儀正しい人なんだ。見かけによらないってよくいうけど、本当だったんだな。そんなことを思いながらも、
「ごめんなさい。好きな人がいるから」
そう断った。
長い沈黙。でも、本当は短かったかもしれない。それだけ、緊張してたんだろう。その沈黙を破ったのは折木くんだった。
「…んでだよ」
「え?」
小さく呟いた声が聞こえなくて、聞き返した。
「…何でだよっ!!」
急に、凄い形相であたしを睨む折木くん。そして、あたしの肩を掴んで壁に押し付けた。顔が怖くて俯くあたしに折木くんは、どんどん顔を近づけてきた。
「やっ…めて!!」
必死で抵抗するあたしだけで、女のあたしの力がかなうはずもなく、もっと強く押し付けられるあたし。
「いいだろ?なぁ?付き合うって言えよ。俺が告ってるんだからさぁ。フツーは断んないと思うんだけど」
いっそう低い声で囁く折木くんにビクビクしていると、頬に一筋の涙が伝った。
「や…めて。ほんと…に」
力なく呟くあたし。誰か助けてって願っても誰も来ないだろう…。そう思ってた。
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