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茶美は携帯電話を取りだし、電話をかけた。
「はい。坂口です」
「河村です。今、電話いいですか」
「どうした?」
坂口の声が高くなる。
「電車、止まっちゃってるんです」
「え、止まってる……。電車って、銀座線か?」
「はい。もういっこの……、半蔵門線、もだめみたいです」
銀座線と半蔵門線は同一のホームで、両端に線路が各一本づつ通っている。
「半蔵門もか。千代田線は?」
「千代田線ですか……。千代田線はなにもいってなかったから、大丈夫かもしれません」
「じゃあ、千代田線でいけばいいじゃん」
「え、千代田線って、渋谷にいくんですか?」
「いかねえよ。じゃなくて、次の明治神宮前駅ってのが、原宿駅まで徒歩三十秒的な駅なんだよ。渋谷よりひと駅離れるけど、原宿で山の手線に乗り換えればいいじゃん。ていうかお前、そんなことも知らなかったのか」
「は、はい」
「茶美らしいな」
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