茶美の足あと

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 それ以来、自分が急いでいるときには声をかけられないように心がけている。  立ち止まらない。早足で歩く。ときには小走りで。プラス、あせっている顔を作る。  今もあわてた表情をして、反対側のもう一つの階段に向かって足早に歩いていると、杖をついているおばあさんがこまり顔でキョロキョロと、立ち往生しているのが目に入った。 「大丈夫ですか?」  声をかける。 「あれ、ねえ、電車がねえ……」  電車が止まって、どうしたらいいのかわからないようだ。 「ちょっと、待っててください」  茶美はホームの先にいる駅員のところまで走った。  駅員におばあさんがこまっていることを告げ、二人でおばあさんのところに戻った。 「お嬢さん、ありがとうね」 「はい。お気をつけて」  と言って、茶美は急いでその場を去った。  すぐに走った。タイムロスが重なっている。早くタクシーに乗らなくてはいけない。イマジカに遅れるわけにはいかない。
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