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デパートの一階にあるカフェでコーヒーを飲んでいた、高山の同級生の彼女の兄貴の話だ。
名前は啓太(けいた)といい、五年前に体験したことで、当時彼は大学三年生だった。
そのとき、啓太の座っていたテーブルの前の方一帯は、一階のお菓子売り場になっている。さまざまな店がフロアの端まで続いていた。
コーヒーの入った紙のカップをつかみ、口に持っていく。顔を少し後ろに下げて、飲んだ。
カップを口から離したときに、店の出入口から小さな女の子が、お母さんに手を引かれて入ってきた。五、六歳くらいの女の子で、大きな目がかわいらしく、肌が、新品のクレヨンで塗ったみたいな完璧な肌色だった。
今の一口で、ちょうどコーヒーを飲み切ってしまっていた。もう一杯飲みたかった。
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