プロローグ

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「一応、銃口を退かしたからって、妙な真似しないでよ…」 「わかっている…」  寧ろ、この状況で動くこと事態が難しい。  それよりも、問題なのが要求の内容だ。  こういう時の相手の要求は大抵決まっている。  装備品を剥がされ、銃を奪ったり、金品の物を要求されたり。  女相手だったら、奴隷になれとか言われる。  できれば、穏便なのがいいと願った。  そしたら、その願いが通ったのか、ローブの人物の口からは、そういったことではない要求だった。 「アンタは…アタシ達を探してる奴隷屋じゃないだろうね?」  アタシ達?―奴隷屋?― 「ちょ、ちょっと待て!…アタシ達って―」  意外だった。  まさか、こんなところに女がいたなんて。  道理でこのローブの人物の声が高いと思った。 「で?…アンタの答えは?」 「……NOだ。俺は最近この街に来たばかりだ。この建物に入ったのは、外にAMRsが徘徊してたからだ…」  嘘は言っていない。  実際にこの街に着いたのは三日前だったし、未だに街の地形を把握してない。 「…………わかった。アンタを信じるよ」 「お姉ちゃん!?」  どうやらわかってくれたようで、命の危機は去った。  後ろにいる奴はそのことに不満がありそうだが。 「だけど、アンタには暫くアタシ達のアジトで軟禁してもらうよ…」  訂正。  やっぱり、まだ疑われていた。  それもそうだ。  もし、ここで別れたら、俺が仲間に報告する可能性があるかもしれない。 ―――そんなことはないのだけれど。  軟禁される以上、通信関係の物や銃は取り上げられるかもしれないが、逆に安全は取れるし、運が良ければ、信頼を得られる。  それなら、俺の答えは決まっている。 「………わかった。アンタの言うことを聞くよ…」  これが、俺と彼女達のファーストコンタクトとなった。
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