1.アジト

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 俺は今、とある部屋にて一人の女性と椅子に座って向かい合っていた。 両腕を手錠で拘束され、簡単には逃げられない状態だった。  あの後、ローブの彼女(背後にいたもう一人も同じ姿だった)の提案に従い、彼女達に着いていった。  彼女達のアジトは、この建物の隣のホテルだったらしく、彼女曰く「監視カメラに人影があったから」とかで、様子を見に来ていたらしい。  そしたら、案の定俺がいたということだ。 「で、俺はいつまで軟禁されるんだ?」  勿論この言葉は目の前にいる彼女に向けてだ。  彼女は先程のローブの人物であって、ローブを脱いだときはびっくりした。  燃えるような赤い髪と瞳。長さは腰ぐらい、つむじ辺りでヘアゴムを使って留めている。  スタイルに関しても文句なしだった。  無駄な肉はついていないし、足もスラッとしている。  まぁ胸はちょっと小さいが。 「そんなに警戒しなくてもいいよ。アタシの仲間が安全だと判断したら、すぐ解放するし」  ということは、その仲間が安全と判断しないかぎり、この状態は続くのか。  あまり長居する予定ではなかったのだが、こればかりはどうにもならない。 (それにしても…暇だ)  装備も何もない故に、することがないと、物凄く暇である。 この女は俺の方を見て、何か笑っているようだし。 「――って…何見てんだよ…」 「んぅ?…いやぁ、男って色々おるんだなぁと」  そういやコイツら、最初俺を奴隷屋と思っていたんだよな。  そこんとこ、訊いておくべきなのか。 「……何か言いたそうだね。えぇっと…」 「…シン…そう呼ばれている…」 「シン……シン…ねぇ」  名前を言っただけなのに、この女はやはり笑っていた。 「ねぇ、シン。アタシが何故最初に、あの質問したかわかる?」  この女、もしかしてわざとか?  俺が聞こうとしている内容を当ててやがる。あの質問―奴隷屋かどうかと聞かれたの事だな。 「…大方、奴隷だった、または奴隷候補だった奴等がこの建物にいるから、拉致しにきた…だろ?」 「確かに、大方アタリだね。シン、アンタ中々良いわね」
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