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カタカタと薄暗い部屋にキーボードを叩く音だけが響く。
カーテンを閉め切り完全に外と部屋に境界線を作って籠っている少女がいた。
――コンコン
ノックの音がした瞬間にキーボードを叩く音が止み、母親の声が部屋の少女に向けて発せられた。
「ゆゆり…?
ご飯、置いとくからね?」
――パサッ
母親の声が聞こえた後にメモ用紙が一枚、ドアの隙間から出てきて母親はそれを読んで静かに去っていった。
――…ガチャ
母親が去った後にドアが静かに開けられて白い細い腕がご飯の乗ったお盆を持って部屋の中に入ってドアが閉められた。
この家では、このやり取りが日常だった。
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