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「はぁ~
平和過ぎて…暇ですねぇ~」
うーんっと伸びをしながら頓所の廊下を歩いているのは『一番隊隊長 沖田 総司』である。
頓所の探索を兼ねて歩いているのだが、これがなかなか暇潰しにならないのだ。
「何か摩訶不思議な事でも起きませんかねぇ~」
そんな事を呟いていれば、普段は足を踏入れない倉庫のような部屋の前まで来ていた事に足を止めた。
薄暗く、ひんやりとした雰囲気に引き返そうと視線を動かした時に音が耳に届いた。
――パサッ
その音に振り返れば、先程まで無かった物が廊下に落ちている事に辺りの気配を探ってみるが人の気配が無いため諦め落ちている物を拾ってみた。
それは長方形で薄い水色に金魚の絵が描かれたメモ用紙だった。
「……紙、ですね…」
沖田はまじまじとそのメモ用紙を見て不思議そうな顔を浮かべていた。
「…頑丈でありながら
キレイな金魚の絵、ですか…」
ピッと引っ張ったりヒラヒラと揺らしてみたりと沖田はメモ用紙を観察していた。
そして、もう一度辺りを見回してこのメモ用紙がどうやって現れたかを思案した。
「何ですかねぇ…
摩訶不思議、ですねぇ」
メモ用紙を見つめながら呟けば金魚の絵が描かれた方面に小さな文字が並んでいることに気付いた。
「えっと…
『ありがとう』?」
普段読み慣れた文字と違うために一文字ずつ悪戦苦闘しながらなんとか読み取った文字に沖田は首を傾げた。
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