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カーテンから光が漏れ出した。それを見て、少年は太陽が顔を出し世界が朝を迎えたことを知った。
少年は枕元に置いていた本を手に取り、しおりを挟めていたページを開いた。多少薄暗いが、この時間帯に本を読むことが、少年は大好きだった。
周りの世界が静かだからだ。その静かな世界では、鳥の鳴き声が一段と澄んで聞こえる。
その時々聞こえる鳥の鳴き声を楽しみながら少年は本の中に入り込んで行いった。
本の主人公は学生だった。主人公は学校に行き、部活を一生懸命頑張って、いつしか全国の舞台で戦う程の腕前になっていた。同じ部活をしていた幼なじみと恋仲になり、幼なじみの応援もあってか全国大会でかなり上位になった。
少年はその本を読んで、これが青春って奴かなのか、と思う。こんな本を読むと、僕も学校に行きたいと思った。
羨ましい。僕は病弱な身体だから普通の学校じゃない通信制の学校だ。部活なんてあるわけないし、もしあっても運動など出来るはずない。
少年には青春を謳歌することは、夢のまた夢だった。
「ゆーくん♪おーはよー」
本を読み終えた頃、母親が少年の病室に入ってきた。少年の母親はこの病室に寄ってから仕事に行くのだ。それが日課になっていた。
「お母さん、おはよう」
少年も返事をする。
「ゆーくん、また本を読んでたのね?どんな内容だったの?」
少年の母親は少年がいるベッドの隣に座り本の内容を聞く。
少年は1日中病院にいる。そのため、話すことは本の話しぐらいしかなかった。時々、母親の仕事場での愚痴もあるが。
「うん、主人公が学校で部活を頑張るお話しかな」
母親は顔を歪めるが、直ぐに俯く事で少年に顔を見られないようにした。
「そっか。ゆーくんも学校に行きたい?……そりゃ行きたいよね。ごめんね……」
少年の母親は最後には謝ってしまった。母親も学校に行かせたいのだ。だけど行かせてあげられない。愛する我が子が学校に憧れを持っている事ぐらい、母親は分かっていた。
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