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早速中庭を抜け、エデンに入ろうとするハイロ
を、止める金太郎
「まあ待てコラ。」
首根っこを離してしまえばスタスタと受付場所に向かってしまうだろう。
金太郎がうながして、二人は中庭の茂みに座る
「10時まで時間がないから手短に話すけどな、入学には一般入学、つまり金を払う入学と、特待入学、金を払わなくていい入学の二種類がある。」
「金を払わなくていいならそれにこしたことはない。バカでもわかる、ならなんで一般入学なんてものがある?結論は単純、特待入学が難しいからだ。」
「今年も去年と同じくらいだな、全部で200名くらいか。その半分の100名が一般入試を受けるとすれば、まあ一般入試でも試験はあるが、まず全員合格するんだよ。けどもう半分が特待入試をしたら、受かるのは1人か、2人だろうな。そうゆうもんなんだよ特待入試は。」
金太郎の表情の影が濃くなった気がする。
「受けたのか?去年。」
ハイロにゆっくりうなづいた。
「結局金なんだよ、なんでもよ。」
金太郎はとうとう立ち上がって自分の尻を払った。
「俺、行くわ。金を払って、王道をな。」
それから手を開いて
「まあ、来年会えたら会おうや。」
金太郎は振り向かずにエデンへ向かう。
しばらく歩いたところで声が聞こえた。
「それが受かるんだよね!俺さ!」
金太郎の毛が逆立つ
まるで馬鹿にされた気がする、去年自分が落ちたあの試験を、そんな試験に落ちた自分までをも!
さすがに振り向いた!
けれど
「受からないわけにはいかないんだ。受からなきゃならないんだ、俺。」
胸ぐらを掴みかけたその手をゆっくり戻して、息を吐いた。
「じゃあ、受かってみろ、ハイロ。」
金太郎には根拠のないことを言う、このハイロの目に映るものがなにか見えた気がしたのか。
二人は受付へ歩き出した。
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