伝説のはじまり

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人間らは準備をした! ウィルの予言があったからではない、もっと前、随分昔から準備はしていた! だが、今回の予言で更に準備したのだ。 「胸騒ぎするわー。」 銀髪の少女がベランダから空を見上げてつぶやいた。 「明日からまた騒がしくなりますもんねー忙しくなりますよー」 お手伝いさんみたいなお姉さんが笑って、お茶とお菓子のクッキーを片付けはじめると、その少女は部屋に戻り、目玉を大きくした 「あー!だめ!まだかじる!」 三枚ほどのクッキーに綺麗な歯形がついていた 「あら、クッキーかじりかけ!」 「うーかじるーかじるー」 呆れ笑いを含みながら、そのかじりかけを少女に渡す。 チョコチップのそれを。 「胸騒ぎって、悪い胸騒ぎですか?」 クッキーをハミハミする少女。 舌と上唇でハミハミしてフヤかして食べるのが好きなのだろう。 「うん、よくわかんねーけどね、良い胸騒ぎだよ!ワクワク風なやつ。」 散々ハミハミしたクッキーをまたテーブルの適当なところに置いて、小さな身体をくるっと回転させ、 「プハー」 と、隣のベッドに飛び込む。 「もう!クッキーまたほったらかし!」 眉を丸めるお手伝いさん 「またあとでかじゆー」 足をベッドの上でバタ足して、 天井のシャンデリアを見つめる少女。 その少女は15年前の魔王のことを少しだけ思いだした。 けれどもすぐ忘れて 「あー腹減ったー」 なら 「クッキー食べなよ!」 お手伝いさんは半イライラで部屋を出た。 …静まる部屋。 「明日くるやつに、へんなんがいるんかなー?」 そう、 アリーシアの勘はよく当たる。
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