空と双子と日本刀

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――― 『さぁさぁ…寄って行くアル!観て行くアル! こちらは中華に名高い"九龍雑技団"アル!』 中華人民共和国 山東省 泰山麓 道教の聖地である泰山。 俺達の所属している九龍雑技団はこの地へ巡業に訪れていた。 理由は何て事もない。 クライアントからの依頼だからだ。 俺達"九龍雑技団"は仕事を選ばない。 他国の王族の依頼に始まり、VIPの記念日、貧乏孤児院の春節公演、時には汚れ仕事を請け負う事もある。 ここに集う者のほとんどは身寄りのない者や行き場を失った者。 斯く言う俺も幼い頃に雑技団に売られ、以降は雑務を任されている。 時を同じくして、福建省の農村に棄てられている双子のトーンとハオンを見つけた。 俺はその時から二人を妹として可愛がり、やがて成長した双子はこんなにも美しくなってくれた。 兄冥利に尽きるってもんだ! …しかし何だね。 俺が連れ去られたのは見覚えのある九龍雑技団のテント。 この公演中は倉庫として使用している物だ。 「座長。なんだって俺をこんな所に?」 「済まないアルな…雑技団旗揚げの当初から良く働いてくれている君には伝えておかなければならないネ。 九龍雑技団は本日を持って解散アルヨ」 「なんですって!」 「我らがあまりにも仕事を選ばなすぎたからネ。 とうとう国内マフィアから目を点けられたアルナ」 「そんな。まさか団長はそれを伝える為にわざわざ?」 「違うナ。私も囚われの身…マフィアはトーンとハオンを狙っているアル」 「なんですって!?」
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