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するとどうだろう。
並み居る屈強な男達が、次々にハオンの手の中へ吸い込まれてゆくではないか!
その様はまるでブラックホール!
みるみるうちに半数の男達がこの世から姿を消した。
しかし侮る無かれ!さすがに手練れ揃いの男達…中にはトーンと同じ様に宙へと飛び上がる能力を持つ者もいる。
男は仲間の頭を踏み台にすると空中にいるトーンへ襲い掛かる!
まずは挨拶程度に柳葉刀を縦に一閃。
これは苦もなくかわす。
トーンはムーンサルトの動きで距離を取ると、手にした日本刀を使う事はせず、ベルトに模様を描くように仕込まれた鉄糸を巧みに操り始める。
使い手の鉄糸は下手な刀より堅く、鋭く、速い。
その鉄糸が5本の指に1本ずつ。
それがまるで生き物の如く有機的な軌道を取る。
男が4本の鉄糸を必死で避ける。
が、右側の死角に周りこんでいた1本が柳葉刀を絡め取ってしまった。
丸腰になった男を援護しようと次々に仲間が飛び上がって来るのだが、それではトーンの思う壺。
細い鉄糸には爆薬が仕込んであったのだ。
適当な1本に火を点けると、後は勝手に爆誘導していく。
それをなるべく広範囲に分散させ、小規模な爆発を幾つも起こした。
一方地上にいる者達にもその爆発は当然確認出来た。
多くの者の目が一瞬そちらへ向いたのが好機!
ハオンは時に歌い、時に箜篌をかき鳴らしながら、妖艶な舞を舞い始めた。
その姿は三国時代に生きた傾国の舞姫、貂蝉の姿を髣髴とさせる。
風は鳴き、地は叫び、天が落ちる。
国乱れる時、聖獣はその姿を現す。
麒麟だ!龍とも獅子とも馬ともつかず、その神性だけをはっきりと感じ取れる白銀の聖獣!
麒麟がいななくと共に雷が起こり、戦場と化したこの地に数多降り注ぐ。
トーンも遂に日本刀を抜き放つ。数珠丸恒次。
日本の天下五剣に数えられる代物だ。
一般に知られていないが、数珠丸には兄弟剣が存在しその銘は恒光。
刃渡り85cmに達する大物である。
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