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―――
「でも団長、あの二人は負けませんよ。
何故なら……」
『敵襲ー!敵襲ー!』
「僕の育てた殺し屋なんですから…」
ズガーン!!!!
「お兄ちゃーん!助けに来たアルーー!!」
対戦車ランチャーを担ぎ、勇ましく突入してきたのは姉のトーン。
敵襲と聞いて集まって来る黒服のマフィア達。
あっという間に取り囲まれてしまう。
「団長…あんたなんだよな?
マフィアを手引きしてた奴は!」
「ぐぬぬ…混蛋(ハンダン)!この恩知らず!!大人しく妹達を引き渡すアル!!そうすれば命だけは助かるヨ」
「俺の名前も忘れちまったのか?なら冥土の土産に良く聞いとけよ!俺の名はヘオン…リュウ・ヘオンだ!!
トーン!!」
「はいナ!!」
トーンは手にした対戦車ランチャーを景気良くぶっ放す。
派手に爆発を起こしたテントはたちまち火の海に包まれる。
「ハオーーン!!」
「はい。兄さん…」
南の空から飛来したのは橙色の羽を纏った朱雀!!
舞い落ちる羽の1枚1枚が火を帯び爆ぜる。その上、朱雀本体も火を吹くため火災の被害はどんどん拡大する一方である。
「団長。気付いていないとでも思ってたんですか?」
ヘオンはポケットから白い粉の入った袋を取り出し、それを投げ渡した。
「団長これは何です?」
「……ぐ」
「覚醒剤ですよね?こいつのほとんどは日本に流れている。
もちろんマフィアに目を付けられた…ってのは建て前で、本当は政府の人間が邪魔になった。だから俺達を使って始末させようって魂胆だ。あんたの行動はわかりやすいからな。バレバレなんだよ」
「もうコイツら3人に構うな!ここで殺すアル!!」
黒服の男の数名が拳銃を構え、ヘオンに照準を合わせる。
「アチャ!!」
ヘオンは目の前に張られた縄を足刀で断ち切る。もちろん支えられていた荷物はバランスを失い、音を立てて崩れ落ちる。
ヘオンは超人的な運動能力で弾丸の雨を潜り抜けると、壁に掛けられていたヌンチャクを掴み取った。
「フォォォォッ!!!!」
無闇に振り回されている様にも見えるヌンチャクは、弾丸の軌道をしっかり捉え確実に弾き返して行く。
「兄さん…援護します」
ハオンはバッ!とチャイナドレスを脱ぎ捨てると、上下揃いの黒い下着姿を露わにする。
その身体に絡み付く様に巻かれたベルトには、無数のナイフが装着されている。
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