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「やっと追いつきましたよ…団長」
「くそっ…親衛隊!」
現れたのは2mあろうかという巨漢集団。
「おいおい…デカきゃ良いってもんじゃないんだぜ!」
ゆらゆらとした動きで、自分そっくりの影を作り出すヘオン。
その数は十数人にはなるだろうか?
「おいおい!数が増えりゃ良いってもんでもないぜ!!」
「そいつはどうかな?」
一人目のヘオンが先頭の男の鳩尾を掌底で打ち上げる。
「ぐあっ」
「俺の影分身は特別製でなぁ…何故だか質量を持ってんだよ!!」
続き2人目、3人目のヘオンが突き出す様に槍を構え、左右から集団深くまで突っ込んだ。
その隙を突いたのが4人目のヘオン。
3人目のすぐ後ろから続き適当の相手の首に足だけでしがみつく。混乱して引き剥がそうと動き回る男を利用して、一人で車輪戦法を取ろうというのだ。
良く訓練された防衛陣が機能しないと見るや、7人目と8人目のヘオンも槍を突き出し突撃する。
しかしこの一角は統率が取れており、数名の男が迎撃に当たる。
あと数歩で接触という瞬間。
7、8人目のヘオンは急に進路を変え、左右に分散する。
これを合図に後に続く9人目、10人目、11人目のヘオンがそれぞれ得物を手に切り込んで行く。
更にそれに呼応する様に、防衛陣の中心から2、3人目のヘオンが挟撃!12人目以降のヘオンは戦況を見極め、遊撃に徹する。それぞれが高度な自律思考と協調性を持っている証拠だ。
「団長!俺はあんたの様な男を許さない…」
フリーになった団長と揉み合っているのは本物のヘオン。
「別に許される必要はないアル!」
「いや!そうは行かない!」
等とお互い馬乗りに殴り合っていると、サイレンの音が聞こえてくる。
火災の通報を受けた警察と消防隊だろう。
「ヤバい…ズラからないと!」
「こうなれば仕方ない。お前を犯人に仕立て上げるアル!!ハーハッハッハッ!!!」
…グモッ
「ほうぁぁぁぁ!!!」
ガシャァァァァン!!!
何時の世も小悪党の最期は呆気ないと決まっているのだろうか?
高笑いを浮かべている間に金的攻撃。
ノーガードで受けた団長は痛みに悶絶するあまり、直ぐ横を走り去ろうとした消防車にはねられたのだ…
「ふう…団長今までお世話になりました。
俺はあなたを本当の父の様に思っていました…
!?…サヨナラ、団長」
ヘオンは濃くなり始めた夜の闇に姿を消していった。
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