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破滅。
人類は今、破滅に向かっている。
生命の誕生から今日に至るまで、全ての生命は破滅への旅路を歩んでいると言っていい。
悠久の時の流れの中、無数の生物が興隆し、滅んでいった。そう、種としての命は緩やかに破滅に向かい、それに逆らう事は決してない。混沌の闇に覆われたこの宇宙で唯一つ、神が定めたもうたルールだ。
だが、人類の破滅はどんな生命よりも唐突に訪れた。
「救いの日」、あの日この星に無数の命が生まれ、そして消えていったのは、単なる切欠に過ぎない。
それより遥か以前に、眩い閃光がこの星を包み、人類の運命を塗り替えた。謎の光が人類にもたらしたもの、それは無味無臭の劇薬、まさに神の悪戯。
いずれ、人は人ではなくなる。人類の叡智など、僅かな延命しか出来ないのだ。
破滅。
人類は今、破滅に向かっている。
しかし神は、たった一つ、人類に未来への最後の切符を与えた。
人類の救世主、その名は…
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