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「えーっと、確かこの辺に……おっ、あったあった。此処だ」
父さんは1つの扉の前で立ち止まるとポケットから鍵を取り出し、鍵穴に入れて右に捻るとカチャと鍵の開く音が聞こえた。
扉を開けて中に入っていく父さんに続いて中に入る。
部屋の中は至ってシンプルで中央に在る台座の上に1つの水晶が置いてあるだけで他には何も無い。
「んじゃあ、測るとしますかね。
先ずはマリーからな。
マリー、こっちおいで」
「はーい!」
父さんに呼ばれて元気な返事をしながら、父さんの元へと移動するマリー。
「じゃあ、先ずはマリーにこれから俺が魔力を流すからそれとよくに似た物を自分の中に見つけてくれ」
「わかった」
父さんが左手をポンとマリーの頭に置きながらのせながら言うとマリーは少し緊張しているのか固い表情で頷いた。
そんなマリーに父さんは苦笑いしながら、「流すからな?」と一言声を掛けてから、かなり微量の魔力をマリーに流した。
魔力の流れた時からマリーは目を瞑って父さんの魔力を手掛かりに自分の魔力を探していた。
「あった!」
15秒程で自分の魔力を見つけたマリーは大きな声で父さんに報告した。
「オーケー。じゃあ、次はこの水晶に手を乗せて魔力を流してくれ。
魔力を流すには、今、感じた物を手に集めて、それを外に押し出すイメージでやってみな」
「がんばる」
マリーは父さんに言われた通りに水晶に右手を乗せ、目をもう一度、閉じて集中する。
すると、次第にマリーの右手に魔力が集まり始め、マリーはそれを水晶にたどたとしくではあったが流した。
それと同時に水晶に数字と色の付いた小さな光球が3つ現れた。
「魔力数10000に光と火と水か。
この歳でこれはとんでもないな」
「パパ、マリーすごい?」
「あぁ、凄いよ。流石だね」
父さんはマリーの頭を笑顔で撫でる。
「やったぁ!ママ!にぃ!
パパにほめられたよ!」
父さんの元を離れ、マリーは此方に小走りでやってくると満面の笑みでそう言った。
「…良かったね…マリー…。
…魔力も…私が5歳の時なんかよりも…全然多いよ…凄いね…」
母さんは相変わらず優しげな微笑みを浮かべてマリーの頭を優しく撫でる。
「えへへ」
マリーは嬉しそうに笑みを浮かべて母さんに頭を撫でられていた。
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