18616人が本棚に入れています
本棚に追加
「次はレイトだ。こっちにきな」
「はい」
「にぃ!がんばってね!」
「うん、マリーに負けないように僕も頑張るよ」
短く返事をして父さんの元へと移動する俺の背中に掛けられたマリーの言葉に振り返って当たり障り無い答えを答える。
結果なんて分かりきっているから今更どうこう出来るわけではないが……。
「それじゃあ、マリーと同じ手順でレイトの魔力を測るからな?」
「その必要は無いよ、父さん。
魔力の流し方はさっきので分かったから」
そう言って、水晶に手を乗せて魔力を流す。
実際はマリーのを見て理解したわけではなく、何故か始めから知っていたのだ。
恐らく魔力制御の才能の種の影響だろうと俺は考えている。
話が逸れたが、俺を魔力を水晶に流すと同時に水晶に変化が起きた。
水晶に浮かぶのは『測定不能』と『無』という2つの文字。
「これは……面倒な事になったな」
水晶に浮かんだ文字を見た瞬間に父さんはそう呟いた。
「…ジュン…どうこうこと…?」
「この水晶を見る限りじゃ、レイトは魔力量は無限に近いくらいまで有るけど、属性が無い。
魔法を使う者としては致命的だな」
「…そんな…」
父さんの言葉を聞いた母さんの顔は周囲からも分かるレベルで青ざめていた。
最初のコメントを投稿しよう!