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「…私の時みたいに…封印とか…されてなるんじゃ…」
「それは無い。
これだけの魔力を持ってるのに今現在封印されてないって事は生まれてから今日までの何処かで封印は解けたって事だ。
属性があったのならそこで一緒に解放されてる筈だし、属性だけを限定的に封印する封印術はレイトには掛かっていない。
それにこの水晶が壊れるって事は無いしな」
「…それじゃあ…レイトの属性が無いのは…」
「紛れもない事実……だな」
父さんが目を伏せてそう言うと母さんの顔が悲痛に歪んだ。
「父さん」
「ん?どうした?」
「僕は捨てられるのですか?」
「はっ?」
父さんは俺の言った事が理解できないといった表情になったが、次第に意味を理解していったのか疑問の表情は消えて、代わりに呆れの表情が浮かんだ。
「バカかお前は」
父さんは本当に呆れたといった声色でそう言うと俺の額に軽くデコピンをした。
「いたっ」
反射的にデコピンされた額を両手で抑えて、父さんを見ると父さんは少し怒っているのか僅かに目がつり上がっていた。
「何処からそんな言葉が出てきたのか知らねぇけど、俺達がお前を捨てるなんて事はあり得ねぇよ。
だから、二度とそんな事言うんじゃねぇぞ。分かったか?」
「はい、ごめんなさい……」
「ん、分かればよろしい」
フッと表情を和らげた父さんは左手で俺の頭をくしゃくしゃと少し乱暴に撫でた。
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